キミに幸せの花束を
「恋莉の腕の傷を診て欲しいんです」


「この子の?分かったわ」


そう言うと如月さんは部屋を出ていった。


「じゃあさっそくだけど腕を見せてくれる?」


「あ、えっと…はい」


私が制服の袖を上にまくると、香織さんはさっきの如月さんみたいに驚いた顔をした。


「これ…誰にやられたの?」


「……一緒に住んでる人です」


お医者さんの彼女に嘘はつけないと思って正直に言った。


「ご両親かしら?」


「いえ、彼氏です…」


「ちょっと腕だけじゃなくて上全部脱いでくれる?」


見られるのが嫌だけど素直に従わないとダメだよね…


全部脱ぐと、痛々しい傷やアザがあらわになる。


「酷い…こんな華奢な女の子に。今まで辛かったでしょう?」


そう言って香織さんは私を優しく抱きしめてくれた。


「…ッ」


気づいたら涙が溢れていた。


もう泣かないってあの時決めたのに、最近泣いてばっかりだ…


「ごめんなさい、すぐ止まりますから…」


「泣きたい時は泣いていいのよ!今までずっと1人で頑張ってたんでしょう?」


香織さんの優しい言葉が、凍った心に溶け込んでいくような感じがした。


「ふぇっ…ぐすっ……こんなに優しくしてもらったの久しぶりで、嬉しくて…」


「大丈夫、私は恋莉ちゃんの味方よ」


背中をさすってくれる手のひらの温かさが心地よくていつの間にか私は寝てしまった。




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