キミに幸せの花束を
「ただいま…」


家に帰ると部屋は真っ暗だった。


悠斗さんいないのかな…?


リビングに入ろうとすると急に手を引っ張られ、そのまま弾みで倒れてしまった。


「ゆ、うとさん…?」


「ねぇ今何時だと思ってるの?学校終わってとっくに過ぎてるよね?僕との約束が守れないの?」


私に覆いかぶさったまま尋ねる悠斗さんは笑顔なのに氷みたいな冷たさを感じた。


「恋莉はいつからそんなに悪い子になったの?僕の言うこと聞けない子にはお仕置しないとダメだよね」


「ごめんなさっ…」


鈍い音と共に壁に打ちつけられると、口の中が血の味がした。


「今日、僕以外の男と喋ったんだって?しかも神竜とかいう僕が大嫌いな奴らと」


え…何で知ってるの?


神竜というワードに思わず肩が揺れる。


「フフッ…やっぱりムカつくなぁアイツら。











…殺しちゃおうか?」


整った顔を崩さないまま楽しそうに言った悠斗さんの笑顔は狂気で満ちていた。


あの時と、3年前と同じように。


「嫌…やめて!ごめんなさい!!もう関わらないから殺さないで!」


神竜には瑞希も居る。


何より関係のない如月さんたちまで巻き込んでしまう。


「…そんなに神竜が大事なんだ?僕は恋莉だけを愛しているのに」


「私も悠斗さんだけ…愛してます」


悠斗さんは満足そうに笑って私を抱きしめた。


キツく、キツく…折れてしまいそうなほど強く。


まるで逃がさないとでも言うように。


そんなことしたって意味ないのにね。


だった私はあなたから逃げられない。


…いつだって私は鳥籠に囚われた鳥と同じだから。


もがいても、もがいても…息苦しい鳥籠の中からは逃げ出すことなんて無理なんだ。








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