キミに幸せの花束を
「幹部の一ノ瀬 瑞希…」


そう言うと視線を逸らしてしまった瑞希。


それよりも、関わらないって決めたのに結局関わっちゃてるなぁ…


「私は一ノ瀬 恋莉です」


「れーちゃんよろしくね〜!」


「れーちゃん…?」


「恋莉ちゃんだかられーちゃん!あ、もしかして嫌だった?」


捨てられた子犬みたいな目で見つめてくる久遠くん。


「全然嫌じゃないですよ?」


頭を撫でると嬉しそうにする久遠くんは本当に子犬みたい…


「周、離れろ」


「えぇ!やだよ〜!!!」


「チッ…」


ギロッとすごい圧で久遠くんを睨みつける類。


「わ、分かったよ〜」


可愛いわんちゃんが離れてっちゃった…


「類ベタ惚れじゃーん」


「…うるせぇ」


「それより本題に入りましょう」


「あぁ…」


和やかだった雰囲気は氷室くんの言葉で一気に消え去った。


「恋莉。いくつか質問があるから応えろ」


「…答えられる範囲なら」


傷や悠斗さんのことだろうな、なんて思いながら類を小さくため息をつく。


聞かれても答えられないことばかりだろうけど。


「お前は抱えている?」


「…答えられません」


「じゃあ何でいつも作り笑いをする?」


作り笑いをする理由?そんなの…


「笑い方が、分からなくなったんです」


いつもいつも感情を押し殺して、痛みに耐える生活を繰り返していればそんなもの忘れてしまう。


でも、悠斗さんの機嫌を損ねてしまうからいつの間にか作り笑いが癖になっていた。


「ごちそうさまでした。私もう行きますね」


もうこれ以上は踏み込んで欲しくなくて話を終えるために立ち上がった。


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