キミに幸せの花束を
そんな恐怖が頭の中を支配して、無意識に体が震えていた。


「俺が絶対守るから何も怖くねぇよ」


シトラスの香りに包まれると、類に抱きしめられていることに気づいた。


なんだか酷く安心していつの間にか涙が溢れていた。


私、いつからこんなに弱くなったんだろう…


今まではどれだけ殴られても耐えてこれた。


泣かないように頑張ってた。


でも類たちに出会って、優しくされるたびに心がもう無理だって言ってるような気がした。


それでもそんな感情を押し殺してきた。


助けてって言ってはいけないような気がしてた。


いくら全国トップだとしても暴走族の人たちが組の人間に勝てるわけないと思ってたから。


でも今は…類の揺るがない強い瞳を見ると本当に私を救ってくれるんじゃないかと思ってしまう。


「泣きたいなら泣けばいい。今まで隠してた本音も、過去も全部話せよ。俺が…俺らが絶対助けてやる」


「もう、痛いのは嫌…!毎日殴られて、怖くて辛くて。あの家に帰りたくないッ………」


次々と出てくる本音と共に涙がとめどなく流れてくる。


ずっと言えなかった言葉を、ずっと誰かに気づいて欲しかったこの気持ちを…


きっとあなたなら信じられる。


だから………


「………助けてっ」


「当たり前だ」


そう言って笑った類の顔は、紛れもなく全国トップの総長の顔をしていた。




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