麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない
馬小屋の当番を終えて寮の部屋に戻ると、ガーメントバッグを手にしたハーランツさんに出迎えられる。
「お帰り、ミティア」
「ただいま戻りました。あの、その荷物は一体?」
「あなた用に騎士団の制服をオーダーメイドしておいたんだ。今月の公務で使うだろう?」
バッグの中にしまわれていたのは、高級そうな生地でできた騎士服である。
今までは訓練に適した動きやすい制服であったが、王の公務はそれなりに着飾る必要があるらしい。
初めての仕事に緊張しながらも、自分の制服を贈られて嬉しくなった。
白地の騎士服は片肩に小さなマントが付いていて、金の飾緒で留められている。
とても繊細な装飾で綺麗。カッコいいわ。
「私専用ですか?」
「ああ。これで、一人前にヨルゴード騎士団の仲間入りだな」
黒い騎士服にダイヤモンドの腕章を付けたハーランツさんの騎士服にも憧れるけれど、白く凛々しいデザインも気に入った。
早速袖を通してみると、サイズはぴったりだ。姿見にふたり並ぶ姿が映って、気分が上がる。