麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない


 馬小屋の当番を終えて寮の部屋に戻ると、ガーメントバッグを手にしたハーランツさんに出迎えられる。


「お帰り、ミティア」

「ただいま戻りました。あの、その荷物は一体?」

「あなた用に騎士団の制服をオーダーメイドしておいたんだ。今月の公務で使うだろう?」


 バッグの中にしまわれていたのは、高級そうな生地でできた騎士服である。

 今までは訓練に適した動きやすい制服であったが、王の公務はそれなりに着飾る必要があるらしい。

 初めての仕事に緊張しながらも、自分の制服を贈られて嬉しくなった。

 白地の騎士服は片肩に小さなマントが付いていて、金の飾緒で留められている。

 とても繊細な装飾で綺麗。カッコいいわ。


「私専用ですか?」

「ああ。これで、一人前にヨルゴード騎士団の仲間入りだな」


 黒い騎士服にダイヤモンドの腕章を付けたハーランツさんの騎士服にも憧れるけれど、白く凛々しいデザインも気に入った。

 早速袖を通してみると、サイズはぴったりだ。姿見にふたり並ぶ姿が映って、気分が上がる。

< 144 / 233 >

この作品をシェア

pagetop