麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない
「服に着せられているみたいで恥ずかしい。でも、とても素敵です」
「ずいぶん嬉しそうだな」
「はい。色違いですけど、ハーランツさんとお揃いなので師弟感があって嬉しいです」
「ははっ、お揃いか。その発想はなかった」
頭に浮かんだ感想をそのまま伝えた私に、彼は顔をほころばせた。
ふと、ひとつの疑問を投げかける。
「やっぱり、当日は一緒に公務には行けないんですよね? 私を武闘会のトーナメントで優勝させたかったのは、なにか一緒にしたい仕事があったのではありませんか?」
すると、腕組みをした彼が静かに答えた。
「ミティアが許せば、手を借りたいと考えていた」
「い、イケナイことをするつもりでしたか?」
「それはどうかな。そんなに眉を寄せないでくれ。無理に協力させるつもりは、元から無かったよ」
穏やかに告げられたセリフに闇がのぞいた気がして、不安を感じる。
一緒に行けなくなったため、彼の考えていたシナリオは白紙になったはずだけど、本当はどんな計画を立てていたのかな。