麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない
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「準備はいいか。お前たちは後続の馬車に乗れ」
十二月二十四日の朝方、ヨルゴード国の門の前で、オルデン団長がその場に集まった五名の騎士に指示を飛ばす。
豪華に装飾された公務用の馬車にザヴァヌ王が乗り、団長とベテランの騎士が同乗した。
ふうん、後続の馬車は、私を含めたその他の騎士のために用意されているのね。自分も貴族のゲストになったみたいでドキドキするな。
颯爽と現れたザヴァヌ王は深紅のマントをひるがえし、こちらを一瞥もせずに馬車へと消えた。
相変わらず冷たく尖ったオーラだ。近寄って声をかけることさえできないほど恐ろしく、やはり自らの護衛に労いの言葉をかける優しさなんて持ち合わせていない。
ド新人の私に目が留まるかと思ったけれど、眼中にもないようで逆に安心したわ。
馬車に揺られて太陽が真上に来た正午頃、会場となる古城が窓から見えた。
レンガ造りの城は植物園に囲まれていて、鉄の門も、蔦の絡まる城壁も、クラシックな雰囲気があって素敵だ。
掃除は定期的にされているらしく、ザヴァヌ王の別邸として、たまに人の出入りがあるようだった。
「準備はいいか。お前たちは後続の馬車に乗れ」
十二月二十四日の朝方、ヨルゴード国の門の前で、オルデン団長がその場に集まった五名の騎士に指示を飛ばす。
豪華に装飾された公務用の馬車にザヴァヌ王が乗り、団長とベテランの騎士が同乗した。
ふうん、後続の馬車は、私を含めたその他の騎士のために用意されているのね。自分も貴族のゲストになったみたいでドキドキするな。
颯爽と現れたザヴァヌ王は深紅のマントをひるがえし、こちらを一瞥もせずに馬車へと消えた。
相変わらず冷たく尖ったオーラだ。近寄って声をかけることさえできないほど恐ろしく、やはり自らの護衛に労いの言葉をかける優しさなんて持ち合わせていない。
ド新人の私に目が留まるかと思ったけれど、眼中にもないようで逆に安心したわ。
馬車に揺られて太陽が真上に来た正午頃、会場となる古城が窓から見えた。
レンガ造りの城は植物園に囲まれていて、鉄の門も、蔦の絡まる城壁も、クラシックな雰囲気があって素敵だ。
掃除は定期的にされているらしく、ザヴァヌ王の別邸として、たまに人の出入りがあるようだった。