麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない
さらりと言いのけた彼は、聞けば聞くほど不思議な男性だった。
クールで飄々としていて掴めない。返ってくる言葉はどれも予想を超えていて、ただの貴族ではない気がした。
彼は、わずかにこちらへ顔を傾けて尋ねる。
「君の名を聞いても良いか?」
「アルティア=ミメーヌです。えっと、あなたは?」
「周囲は私を陛下と呼ぶ。好きに呼んでくれ」
私に名を聞いたのに、自分は教えてくれないのね。ただの気まぐれだとしても、仮面舞踏会のゲストとして、素性を明かさないルールを守っているのかな。
言葉の節々に高潔なカリスマ性を感じていたけれど、やっぱりどこかの国の王様なんだわ。
「じゃあ、ハテナさんと呼んでも? 失礼でしょうか?」
「ははっ、良いな。では、君の前でだけは“ハテナさん”になろう」
「ハテナさんにとって、連れの方はどのようなご関係なんですか?」
「血を分けた息子だ。受付を通るなり、『助かった。もう帰っていいぞ』と私を置いて姿を消した。頼みを聞いて同伴してやったのに、可愛くない。まったく、誰に似たんだか」