麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない
「生命力が強いついでに、歳をとる速度も遅い。アルティア君、私はいくつに見える?」
「さ、三十七、八歳くらいかと」
「あっはは。お世辞が上手いな。数を数えるのはやめたが、数百年は歴史を見てきたよ」
信じられない発言に耳を疑った。しかし、嘘をついているわけではないようだ。彼いわく、不老不死に近い存在らしい。
よく見れば、仮面から覗く耳が尖っている。妖精族なのかしら? 彼は、私とは流れる時間の速さが異なると言った。
「すごいですね。あなたのような方には初めて会いました」
「そんなに素晴らしいものではないよ。不老不死など、親しい者との別れを繰り返すだけだ。唯一愛した妻も、息子を産んですぐ、私より先に逝ってしまった」
なるほど。不老不死とはいえ、良いことばかりではないらしい。
「息子さんは、不老不死に近い体なのですか?」
「いや、妻が妖精族ではないのでな。体は丈夫でも、人と同じ歳の取り方をする。息子の体質は妻の遺伝子を強く受け継いだ」
「素敵です。種族を越えた結婚だったんですね」
「ああ。長い間生きてきたけれど、あれほど美しい人はいなかった。一目見たときから伴侶にすると決め、彼女の元へ通い詰めて、口説き落としたよ」