麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない
話によれば、彼らは私を罠にはめて合成獣に馬車を襲わせた後、ザヴァヌ王に小屋の管理を言い渡されて、この土地へ移ってきたらしい。
殺したはずの聖女とかつての上司がともに現れて、動揺が止まらないようだ。
レストランに指名手配書が貼られていたところから察するに、おそらく彼らも私たちがお尋ね者であると理解している。
私が言霊の魔力で行動を制限させているうちに、ハーランツさんは手慣れた様子でふたりの男に手錠をかけた。
小屋の中は殺風景で、食料品とテレビ、電話くらいしかものがない。
「ここが研究所なのでしょうか? 想像していた光景とは違いますね」
ハーランツさんも、あごに手を当てて考え込む。
「確かに、これじゃあただの家だな……おい、他に管理を任されている小屋はないのか」
「あっ、ありませんよ。俺たちもここに来るよう命じられただけで、何が何だかわかっていないんですから」
すっかり戦意をなくして怯える騎士たちは、嘘をついているわけではなさそうだ。末端の騎士には、詳しい情報が下ろされていない。
小屋の裏手にまわったとき、小さな丘に墓石が建てられているのが目に入った。