エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「そんなに怒るなよ。なー、おいって」
そうして窪塚の制止になど耳を貸さず、そのまま信号待ちの人の群れに合流しようとした矢先のことだ。
目の前の信号機に、物凄いスピードで真っ白な乗用車がいきなり突っ込んできて、周囲は瞬く間に、けたたましい轟音と悲鳴とで覆い尽くされてしまっている。
その瞬間、幼い頃に経験した恐怖心を呼び起こされてしまった私は、すぐさま頭を抱え込んでその場に蹲ってしまうのだった。
頭の中には、幼い頃に目にした光景が効果音つきで鮮烈に蘇ってくる。
ただただ怖くて怖くてどうしようもない。
ガタガタと戦慄したままで動くこともままならず、縮こめた身体を尚も竦ませることしかできないでいる。
そんな私の元に、三年前のあの時と同じように素早く駆けつけ、即座に包み込むようにしてあたたかな腕でしっかりと抱きとめてくれたのはやっぱり窪塚で。