エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
そんな私のことをお得意の澄ました表情で見下ろしていた窪塚がふっと軽く笑ったかと思えば、打って変わって、なにやら楽しそうに。
「何言ってんのコイツ……って顔だな? その、キョトンとした顔もそうだけど。他にも色々とオプションつけてもらってんだから、両親に感謝しろって言ってんだよ」
何やら含みを持たせたような口ぶりで、そう返されても、馬鹿にされたということは分かっても、何を言いたいかが掴めない。
ーー何が言いたいのよ。ハッキリ言いなさいよ。
そう念じつつ睨みつけることしかできない。
しばし睨みつけること数秒、窪塚の方に動きがあったのだが。
もうこれ以上耐えられないとばかりにクックと笑いを漏らし始め、それだけでは笑いが収まらないようで、とうとうお腹を片手で抱えて本格的に笑い始めた。
何に受けたか知らないが、どうやら笑いの壺に嵌ったらしい。
これまでは、窪塚のことを敵視してたこともあり、少し距離を取っていたせいで、正直、素の窪塚のことはよく知らない。
だからようやく口を開放されても、初めて目にしたバカ笑いする窪塚の姿に、私は呆気に取られてポカンとしてしまっている。
少しして、一頻り笑った窪塚からようやく放たれた声が聞こえてきた。
「あー、笑いすぎて、腹イテェー」
そこでハタと正気に戻った私が窪塚のことを振り払って柱に凭れ、肩を上下させて新鮮な空気を取り込んでいるその傍らで。
笑いすぎたおかげで、目尻に涙まで滲ませた窪塚がそれらを肩口で拭って、はー、と息を吐き出すと同時にようやく口を開いた。
「お前って、前から俺のこと敵視してて、可愛げないヤツだと思ってたけどさぁ。それが意外と、セックスの時の反応も喘ぎ声もメチャクチャ可愛いくて、相性まで良くて、正直驚いた。でも、それだけじゃなかったんだなぁ? いやぁ、最高だわ、お前。メチャクチャおもしれーわ」
至極感心したようにそんなこと言われたって、私的には心外だし、非常に屈辱的なことでしかないけど。
どうやら私の言動の全てが窪塚的には面白かったようだ。