エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
あんたたちには関係ないから、さっさと仕事に戻りなさいよ!
とは内心では思っていても、一応同じ病院の職員であり先輩でもあるので、さすがに、そんなこと言えるはずもなく。
未だに私のことを柱に片手で追いやっている眼前の窪塚のことを睨みつけつつ。
ーーちょっと、あんたのせいなんだからねッ! さっさとなんとかしなさいよッ!
そう念じることしかできないのだけれど。
当の窪塚ときたら、盛大な溜息を垂れ流して、
「かったりぃ」
なんて小声でくとづくだけで、対処しようとする気配がちっとも見受けられない。
ただ救いだったのが、今日は幸いなことに、午後から空調設備の点検があるため外来は休診なので、メインストリートを行き交う人々のほとんどが職員だ。
通りすがりに、好奇の目を向けられるのは、あの噂のお陰で慣れているので別にどうということもないが、当直明けなので一刻も早くこの状況から解放されたいものである。