エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
けれども、こういう経験が皆無だった私には、当たり前だがセフレというものがどういうものであるかの概念など持ち合わせちゃいない。
それ以前に、恋人同士がどういう風に愛を確かめあっているかも分からないのだ。
それでも、『好きな女のように大事にする』という当初の『約束』通り、同期である私のことを窪塚が本当の恋人のように優しくしてくれてるってことだけは分かる。
それが幼馴染みの身代わりにしている同期である私への気遣いだってことも。
それなのに……。
私には何もかもが未経験なことばかりのせいか、時々錯覚してしまいそうになる。
この日の朝だって、私が目を覚ますまでの間、窪塚はずっとあたたかで逞しい腕にふわりと包み込むようにして抱きしめてくれていた。
とても残念なことに、寝起きで視界がボンヤリとしていて、窪塚の表情をちゃんと見ることは叶わなかったけれど……。