エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
おそらく明け方近くまで、恐ろしくタフな窪塚によって体力の極限まで追い込まれてしまってたせいで、言いようのない気怠さと眠気に襲われてた私は、寝起きなこともあり、夢か現実かの区別がつかずにいた。
「……ん? くぼ……づか?」
そのせいか、寝ぼけた私のマヌケな言動が窪塚の笑いのツボにでも嵌ったのかもしれない。
「ハハッ、寝ぼけてやんの。身体きついだろ? 今日は休みだしまだ寝てろよ」
笑い声を放った窪塚のとっても楽しげな声音が耳に届くと同時に、とっても優しげな微笑を湛えた窪塚の端正な顔がぼやけた視界いっぱいに迫ってきて。
寝ぼけた私の額に自分のそれをコツンとくっつけてきた窪塚が、優しい声音で囁いてきた。
「無理させた責任とってずっと傍についててやるから安心しろ」
その声で。
そういえば、事故現場に居合わせたことでひとりになるのが心細くて窪塚に自分から『慰めなさいよ』とか言って縋ったんだっけ。
薄れかけていた記憶の糸を手繰り寄せているうち、窪塚のぬくもりと言葉に安堵したのか、私はそのまますぐに眠りに墜ちてしまったけれど。
その間際、なんとか「……うん」と返事を返したことと、私の頬にそうっと触れるだけの優しいキスを降らせてくれたことだけはハッキリと記憶に残っている。