エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
そして目覚めてからも、服はいつの間にか洗濯し乾燥まで済ませてくれていたし、下着だってコンビニで買ってきてもくれていて、至れり尽くせり。
さすがに料理は苦手なようで、老舗料亭を営む伯父の家に居候中の身である私の唯一の得意料理、伯父直伝の出汁巻き玉子とお味噌汁が大活躍したのは嬉しい誤算だった。
お陰で、『メチャクチャ美味い』といって見る間にペロリと平らげてくれた窪塚の子供みたいに無邪気に破顔したレアな顔を拝むこともできたし。
朝昼兼用のブランチのあとには、一駅ほどでさほど遠くでもなかったから、帰りはひとりで平気だと伝えたのに、いつもの強引さを発揮して、『車を取りに行くついでだ』といって、わざわざ伯父の家の前まで送ってもくれた。
どれもこれも全部、恋人同士を装うための偽装工作の一環なのだろうし。
『約束』のうちに入っているんだろうけれど、こんな風に優しくされちゃったら、本物の恋人にでもなったかのように私が錯覚してしまうのも無理はないだろう。
ただでさえ、窪塚のことを好きだと自覚してしまった胸がキュンキュンときめいて、想いは募るばかりだ。