エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
お陰で、院内での移動中なんかに、窪塚と同じロイヤルブルーのスクラブに身を包んでいる男性医師の姿を見かけるたびに、知らず知らずのうちに視線で追ってしまっていたりして。
それを彩に、ここぞとばかりに鋭く指摘されてしまうという有様だった。
『なになに? もしかして、窪塚だと思っちゃった?』
『べ、別に。たまたま見てただけだしッ』
『へぇ、たまたまね〜』
『そう。たまたまだから』
だからといって、素直にそれを認められるほど、可愛げのある性格なんて持ち合わせていないため、毎回毎回、飽きることなく速攻で跳ね返してしまうのだが。
『もー、鈴ってば。ホントに素直じゃないんだからぁ。でも、そんな鈴がまさか、窪塚のためにおしゃれに気を配ったり、私にメイクを教えてほしいなんて言ってくる日が来るなんて。もうほんっとーに吃驚だったんだからぁ』
仕事もプライベートも何もかもを知り尽くしている、自他共に認める親友である彩にかかれば、私なんてほんの数秒で戦意喪失状態にまで追い込まれてしまい。
窪塚を振り向かせるためにも、まずは皆無に等しい女子力をなんとかしなくてはと一念発起。
彩のことを頼ってしまったことを今更ながらに後悔したってもう後の祭りだ。