エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
どうしてくれんのよ? あんなところでキスなんかしてくれちゃって!
ただでさえ、院長であるおじさんと愛人だなんて噂されて、陰でビッチなんて呼ばれてるっていうのに。
『脳外の貴公子』なんていわれている、病院一のモテ男である窪塚の彼女だなんて思われちゃったら、一体なんて言われるか……。
窪塚の言うように、擦り寄ってくる輩はいなくなるかもしれないが、間違いなく、窪塚のファンである女性職員に目の敵にされるに違いない。
……あーもー考えるのも憂鬱になってきた。
頭を抱えつつ、ふとベッド上の窪塚に視線をやれば、相変わらずベッドの上で片肘を突いて頭を支え、ふてぶてしい態度で寝転んでいる。
誰のせいでこんなことになったと思ってんのよ。
ーーあー、もう、無性に腹が立ってきた。
文句の一つでも言ってやろうと、窪塚の首根っこを掴み上げ。
「ちょっと、窪塚。あんたのせいで仕事がやりづらくなっちゃったじゃないのよッ! 一体どうしてくれんのよ?」
これ以上にないくらい低い声音でドスを利かせて詰め寄るも。
「……別に、今までだってビッチなんて言われてたんだし、そんな大して変わんねぇだろ? むしろ、俺の彼女ってことで寄りつく虫が減るんだし。感謝されたいくらいだっての」
態度同様のなんともふてぶてしい言葉が返された上に、恩着せがましい言葉まで上乗せされた。