エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ーーは!? 何言ってんの? このクズ男。意味がわかんないんですけど。
寝るなら一人で寝ろっつーの。そんでもって二度と目を覚ますな。
窪塚の趣味の悪いジョークに憤慨し、未だ私のことを組み敷いたままの窪塚に向けて、とがった怒声と鋭利の如く鋭い視線を放ちながら。
「笑えない冗談言ってないで、さっさとどきなさいよッ!」
顔面めがけて平手打ちでもお見舞いしてやろうと手を振り上げるも。
さすがは神の手の息子と思わせるほどの瞬発力で、難なく私の手首をつかみ取っておいて。
「あっぶねー」
全然怖くもなかったクセに、わざとらしく大袈裟に肩を竦めて怯えたような素振りを見せる窪塚。
それだけでも、この上ないくらいに腹立たしいというのに。
このクズ男は、間髪入れず。
「さっきもそうだけどさぁ。お前って、こうやってすぐにカーッとなって、すーぐ手出してくるのさえなければ、いい女なのになぁ。あー、ほんと勿体ねぇ」
どこまでも愉しそうな表情で私のことを見下しつつ、面白おかしく揶揄うような口ぶりで、長年、周囲の人間から事あるごとに言われてきて、自分でも気にしてることを鋭く突いてきた。
たちまち腹の底の方から熱いものがふつふつとこみ上げてきて、無性に腹が立って腹が立って仕方ない。
でもだからって、ここで怒ったら、窪塚の思う壺だし。
また同じようなことを言って揶揄われるのがオチだ。
言い返すだけ無駄だし、聞き流していればいいだけのこと。
そんなこと分かってるのに、どうしても黙ってはいられなかった。