エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
優のことを聞かされたあの夜、余計なお節介が仇になった三年前のことも優がらみだったことを知り、同時に謝ってももらい、長年のわだかまりもようやく解消したっていうのに、俺はどうにも複雑な心境だった。
けれど、そのことで高梨から慰めてくれと言われて。
こういう時に頼ってくれようとしてくれるくらいには、俺への嫌悪も薄れてきたことが素直に嬉しくもあったのだ。
当初は、この不毛な片想いに終止符を打って前に進むためにも、自らとことん嫌われて諦めざるを得ない状況に追い込もうとしていたはずが。
その頃には、相変わらず想いは一方通行ではあっても、幾度となく身体を重ねてきたせいで、高梨への想いは、想像以上に膨らんでいた。
自分では、もうどうすることもできなくなってしまってもいて。
そう簡単には、高梨のことを諦めることなんてできなくなってしまっていた。
自分でも、どうして高梨じゃなきゃダメなのかなんて、分からない。
出逢ったときだって、たまたま隣の席になっただけで、講師や先輩らの話に耳を傾けながらメモをとっていて、その時に手が滑って落としてしまったペンを高梨が拾ってくれて、一言二言言葉を交わしただけだった。
凛とした立ち居振る舞いに、容姿端麗という言葉がぴったりな、透けるような色白の肌と漆黒の絹糸のような艷やかなストレートの髪、琥珀色の円な瞳が印象的な、可憐な容姿は、周囲の目を惹きつけていて。
ウッカリ俺も、拾ってくれたペンのことなど忘れ、ポーッと数秒ほど見惚れてしまったほどだ。