エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ちょうどそのタイミングでセミナー当日を迎え、徹夜の甲斐もあってなんとか間に合いそうだとホッとしかけたところで、しつこいくそワンコと対峙する羽目になりつつも、高梨と久々のご対面を果たすこととなって。
二週間ぶりに逢った高梨がメチャクチャ綺麗になってて、上品なワンピースという装いのせいか、心なしかこれまでよりも雰囲気も柔らかくなったようにも感じた。
これも藤堂のためかと思うと、なんともやるせない心持ちになって。
とてもじゃないが、暢気にセミナーになんか行ってるような心のゆとりなんてなかった。
だからって、ここで徹夜を理由にサボるなんて言ったところで、藤堂に逢えるかもしれないと心待ちにしているのだろう高梨が快諾してくるなんて夢にも思ってなかったし。
高梨にめっぽう弱い俺のことだ。
羽田のくそワンコじゃないが、尻尾を振ってあっさり高梨の要求通りセミナーに向かう自分の姿が目に浮かんでもいた。
それなのに高梨は、俺の我が儘もあっさり聞き入れてくれて、ずっと一緒にいてくれた高梨の俺に対する嫌悪感がずいぶんと解れていたことで、俺はすっかり舞い上がってしまっていたのだろうと思う。
このまま上手くいけば、もしかしたら、高梨とセフレなんていうこんな不確かで不埒な関係じゃなく、本当の恋人同士になれるんじゃないかと。
それがまさか、いきなり両親と対峙することになるなんて、本当についてないとしかいいようがなったが。
その時の俺の脳裏には、ある可能性がチラついてもいた。