エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「もうわかったから、いい加減離してッ!」
「……じゃあ、部屋でゆっくり話そうぜ」
「えっ!? ちょっと。もー! どうしてそうなっちゃうのよーッ!」
しばらくの間、一向に離してくれる気配のない窪塚と、『離して』『離さない』の押し問答を繰り広げていたのだが。
話だけでも聞こうと折れたっていうのに。
いつもの如く強引さを遺憾なく発揮してきた窪塚によって、私は強引に手を引かれて部屋のリビングダイニングまで連行されたのだった。
そうしてソファに座るよう促された私が腰を下ろした瞬間。
「いくら頭を下げて謝っても許してもらえるとは思ってない。けど、釈明だけは聞いてくれないか? この通り頼む」
私の眼前で長身を直角に折って深々と頭を下げてきた窪塚から放たれた、やけに真剣な声音が耳に届いた。
今更、何を謝るっていうのよ。
画像でセフレになれって脅したこと?
それとも、私の意見を無視して、父と勝手に約束したこと?
でも、もう、どれも終わったことだ。
今更そんなもの聞かされたからって、私の意思は変わらない。
なにもかも帳消しにしてなかったことにして欲しいくらいだ。
でも、そんなの無理だから、せめてセフレなんて解消して、元に戻りたい。
だから、もうさっさとけじめをつけてしまおうと、先手を打ってやろうと思っていたのに……。
「もうそんなのいいから。それより、これ、返すから、セフレ解消してほしいの。今すぐ画像消してくれたら、何もかもなかったことにしてあげるから、お願い」