エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

「画像なんてないから消しようがないし、イヤーカフも受け取れない。本当はお前のことがずっと好きだったんだ。だからセフレでも偽装でもなく、本物の彼女になってくれないか?」

 窪塚から思いがけない言葉が返されて、しかもずっと好きだったとか、今更ながらに彼女になってくれなんて、そんなこと言われても、正直、信じられないし、虫が良すぎるとしか思えなかった。

 開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。

「はっ!? 画像がないってどういうことよ? 私のことがずっと好きだったって、どういうこと? それに彼女って。今更、何いっちゃってんの? 意味わかんないッ!」

 思わず眼前の窪塚の着ているスウェットの胸倉の辺りをぐいと掴んで引き寄せたところで、自分で口にしたせいか、思いもよらなかった言葉の数々が一気に頭に流れ込んできて、さっきまで普通に機能してたはずが、思いがけず混乱状態に陥った私は、ソファに腰掛けたまま呆然としてしまっていて。そこに。

「急に色々言って混乱させて悪かった。けど、ちゃんと説明するから聞いて欲しい。頼む」

 再び窪塚の真剣な声音が放たれても、どうやらキャパオーバーを起こしてしまったらしい頭が追いつかず、ただただ頭を抱えることしかできないでいる。

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