エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
窪塚との甘い甘い口づけに酔いしれていると不意に窪塚の唇が離れていってしまった。
蕩けた頭が名残惜しさを感じるよりも先に、窪塚から苦しげな声音が耳に届くも。
「あー、ヤバい。鈴が可愛すぎて、危うくここでイきそうになるとこだった。部屋に戻るぞ」
「……へ?」
理解なんて追いつかない。
つい先ほどまでの甘やかだった雰囲気にはそぐわない色気どころか間抜けすぎる声を漏らしていた。
そのことを悔やんでいるような猶予も、ましてやキスを中断されてしまったことに文句を零しているような暇もなく、窪塚によって横抱きに抱え上げられてしまっている。
所謂、お姫様抱っこだ。
「ーーッ!?」
驚きすぎて言葉も出ない。
初めてのデートの後、初めてこのマンションを訪れたときにも、お風呂上がりにされたことはあった。
けれど、あの時はセフレだったし、恥ずかしさが勝っていて、感動しているような心情でもなかったけれど、今は違う。
本物の恋人同士になって初めてのお姫様抱っこだ。
足早にエレベーターの扉をくぐって部屋へと向かって一目散に歩いていく窪塚の腕の中で私はキュンキュンと胸を高鳴らせている。