エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ニュアンスからして怒っているらしいことが窺える。
けれど、何を言っていたかは全くと言っていいほど聞き取れなかった。
「……え? 何? 聞こえないんだけど」
不思議に思った私が首を傾げてキョトンとしているところに、
「なんでもねーよ。鈴はこのままずっと変わらないでいてくれたらいいってことだよ。もうヤバいから行くぞ」
窪塚の声が再び届いたけれど、結局さっきのことについては教えてもらえないままだ。
けれども、言ってこないということは、さほど大したことではなかったのだろう。
私ももうこの先のことしか頭になかったので、窪塚に素直にコクンと頷くことで返答して、後は窪塚にすべてを委ねるように胸にしっかりとしがみついていた。
そうして帰り着いた窪塚の部屋のバスルームにて、ただ今、互いに生まれたままの姿で向かい合って、互いの身体を洗い合っているところである。
……と言いたいところだが、どうにもこういうことに慣れない私は、窪塚によって辱めを受けていると言った方が正しいかもしれない。