エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
確かに、『先にシャワーを浴びたい』と言ったのは、他の誰でもない私だ。
窪塚とこれから過ごすめくるめく甘いひと時への期待感から、初めて部屋に訪れたときのことを失念して、そんなことを言ってしまった自分の学習力のなさにも呆れてしまうが……。
だからって、そんなにも直視しなくてもいいのではないだろうか。
いくら両想いになったからって、一刻も早く想いを確かめあいたいと言ったからって、恥ずかしいモノは恥ずかしい。
それにお互い初めて同士のはずなのに、窪塚ときたら、まったくといっていいほど、恥じらうような素振りを見せないのだ。
それどころか、自分で洗うからいいと何度言っても。
「そんなに恥ずかしがってたら、いつまでも経っても洗えねーだろ? 俺が洗ってやるからじっとしてろって。ほら」
「////……ギャッ!?」
結局は聞き入れてもらえず仕舞いだった。
けれどこれまでのことを思えば、こういう時には決まって、窪塚はドSっぷりを遺憾なく発揮していたわけだし。
まぁ、それは予想通りではあった。あったけれど……。
「こら、隠すなって。胸がちゃんと洗えねーだろ」
「////……あっ、やんッ!?」
やけに嬉しそうに私の身体を観察でもするかのようにして、隅から隅まで余すことなく、バカがつくほど丁寧に洗ってくれている。
そのため否が応でも窪塚の視線が身体の至るところに注がれていて、恥ずかしいったらない。
お陰で窪塚の正面で羞恥に身悶え足をもじもじさせつつ、両膝を擦りあわせて立っている顔から全身までが、これ以上に紅くなりようがないってくらいに真っ赤に色づいてしまっている。
丸みを帯びた大きな浴槽に張られたお湯の湯気がゆらゆらと立ち上り、熱気が充満しているバスルームのせいでただでさえ上気している身体が熱くて熱くてどうしようもない。
今にも逆上せ上がってしまいそうだ。