エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
閉ざした瞼の裏側が翳って、そうっと身体の上にのしかかってくる窪塚のしっとりと湿り気を帯びた湯上がりの素肌が心地いい。
けれど窪塚に組み敷かれ緊張感がピークを迎えたことで意図せず身体に力が入る。
そこへ窪塚から不意に名前を呼ばれ、おもむろに目を見開くと。
「鈴」
「////……?」
眼前に迫っていた窪塚の端正な顔に翳りが差し、漆黒の瞳もゆらゆらと揺らいでいるように見える。
どうしたのかと思っていると。
「怖いのか?」
ーー緊張してたけだ。怖いはずがない。
表情同様の心配そうな声音で訪ねられたことで、私が怖がっているのだと思い違いをして気遣ってくれているのだとわかり、たちまち緊張感に侵食されそうだった心が凪いでいく。
私の反応ひとつを気にかけてくれて、こうして気遣ってくれることが素直に嬉しかった。
組み敷かれ密着していることで、窪塚に余裕がないことは明らかだ。
なのに、自分のことよりも私のことを優先しようとしてくれている。こんなに嬉しいことはない。
「////……緊張してただけ。けど、こうしてたら全然なんともない。すっごく落ち着く」
窪塚の背中にしっかりとしがみつき、広くて厚い胸板に顔を擦り寄せると、ぬくもりと一緒にトクントクンと通常より速い速度でリズムを刻む心音が伝わってくる。
本当に、どうしてなのかと不思議なくらい安心できる。
その途端、息を呑む素振りを覗かせた窪塚の分身がよりいっそう猛々しい反応を示し、いよいよ余裕がないことが窺える。