エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 私の言葉を耳にした途端、窪塚は、ベッド脇のサイドチェストに手を伸ばしたまま固まってしまっている。

 そんなに驚くことないと思うんだけど。

 だって、別に避妊なんてしなくったって、妊娠の心配なんてないのだし。

 それに、こういうことに疎い私でさえ、避妊しないままの方が気持ちいいらしいことは知っている。

 そのことに関して、少なからず興味だってある。

窪塚には、そういう好奇心とかはないのだろうか。

 念のために言っておくが、いくら興味があるからって、他の人となんて考えられない。

 窪塚とだからしてみたいって思うのだ。

 窪塚に気持ちよくなってもらいたいっていう気持ちの方が大きい。

 これまでもそうだけど、私はいつも受け身で、窪塚に気持ちよくしてもらってばっかりで、何もしてあげられないのだから。

 そう思うのは当然だと思う。

 頭に次々に浮上する様々な思考が渦巻くなか、私は窪塚に対して質問を投げかけるのだった。

「別に避妊する心配なんてないんだし、いいじゃない別に。どうしてダメなのよ?」

 すると、私の質問でハッと我に返った様子の窪塚が、ボソボソと呟くように返答してきて。

「否、ダメっていうか。お前のことが大事すぎて……俺なんかが気安く穢しちゃいけねー気がして……」

 なにやらバツ悪そうに、首の後ろに手を当て擦るような仕草を見せている。

 窪塚が今までどうして童貞だったか、わかった気がした。

 そんなにも私のことを大事に想い続けてくれてたんだ。

 そんな風に想ってもらえていたなんて。どうしよう。

 ーーメチャクチャ嬉しい。

 窪塚への想いがどんどん溢れてきて、もう止まりそうにない。
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