エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「なら、交渉成立ってことでいいんだよな?」
「望むところよッ! あんたなんか、これでもかってくらいに利用しまくってやるんだからッ! フンッ!」
気づいた時には、何枚も上手な窪塚の術中にまんまと嵌ってしまっていたのだった。
そんな有様だった私の頭の中は……。
窪塚にいいように利用されてなるものか。目一杯利用して、後悔させてやるんだから。
ーー覚えておきなさいよ。このクズ男!
これ以上にないくらいの怒りと闘志によって支配されていて、そんなことに気づけるような冷静さなんて完全に欠いていて。
気づいたところで、窪塚に頭を下げる訳にもいかず、結局は窪塚の要求を飲むよりほかに、別の道など残されてなどいない。
そしてそこへ、尚も退路を断つようにして、組み敷いた私の顔の真横にドンと右手を突いてきた窪塚がじりじりと迫ってくるのだった。