エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「弄ぶって、酷い言われようだな。まぁ、確かに酷いことしたって自覚はあるけどな。でも、さっきも言ったと思うけどさ、この前、慰めてくれたお前には本当に感謝してる。だから、お前のことも慰めてやりたいと思ってるんだ」
『慰めてやる』と言われても。
ーーはて、失恋なんてした覚えもないし、何を慰めると言うのだろうか?
窪塚の言葉の意図が汲み取れないため、頭の中を疑問符に覆い尽くされていく私の元に再び窪塚の声が届いた。
「やっぱり、あれだろ? この前、藤堂が教授の娘と結婚を前提に付き合ってるって聞いて、それで落ち込んで、ヤケになって飲み過ぎたんだろ?」
それがまた、寝耳に水だったものだから、少々驚きはしたが。でも、以前から、大学病院に勤めている友人らからも、そういうこともちょくちょく聞かされていたので。
ーーへぇ、そうなんだ。
元彼ではあったが、浅い付き合いだったので、それ以上の感情なんて湧いてなどこなかった。
まぁ、でも、ここでそんなことを言ってしまえば、色々とややこしくなりそうだし、処女だとバレても困るのでなんとか誤魔化すことにする。
「もう藤堂の名前は出さないでくれる? 余計惨めになるから聞きたくないッ!」
女として見られなかったことを思い出すのが嫌っていうのは本当なので、別に嘘ではない。