エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

「へぇ、やっぱりそうだったんだな。分かった。なら、俺が藤堂のことなんか忘れさせてやるよ」

 それなのに、酷く得心したような呟きを零した窪塚が、これまた意外なことを口にした。

 藤堂のことをちゃんと説明してないのだから、窪塚が勘違いをしてるのはしょうがないにしても。

 そのことで窪塚に同情される謂れなんてない。

「よ、余計なお世話よッ!」

 瞬時に、何もかもを跳ね返すようにピシャリと放った言葉も。

「今更そんな風に虚勢なんて張らなくてもいいんじゃないか? って言っても無理だよな、俺のこと嫌いなんだし」

 何やら知った風な口ぶりで、そう言ってきた窪塚には、まったくといっていいほど、堪えてなどいないようだ。

 それが悔しくて、窪塚のことを忌々しげに睨みつけている私に対し、窪塚が続け様に。

「でもお前の場合、普段とセックスしてる時との差がありすぎて、そういうギャップが堪らないんだよなぁ」

 窪塚は懲りもせずに、厭らしい笑みを湛え、あの夜のことを仄めかすようなことを口にする。
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