エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
その後、釈然としないながらも、私服からスクラブに着替え白衣を纏ってから、彩と一緒に総合内科の医局へと向かった。
医局内に入ってすぐに好奇の目を向けられもしたが、その他は特に問題もなく申し送りを聞き終え、電子カルテのチェックに取りかかろうとしたところで、院長であるおじさんにわざわざ内線で呼び出され、院長室でトンチンカンなことを聞かされることにも。
『いやぁ、吃驚しちゃったよ。ふたりとも、前々からお互いのことを妙に意識してるとは思ってたけど。まさか、もう付き合ってたとは思わなかったし。オマケにあの後、ド派手な交際宣言しちゃうなんてさぁ』
『……へぇ、そんな風に見えてたんだぁ。初耳だなぁ。へ~、目、腐ってんじゃないの』
『え、何? メチャクチャ機嫌悪くない? もしかして、圭先生と喧嘩中?』
『もう、そんなくだらないことで呼び出さないでよね、仕事中なんだから。用がないなら戻るから』
『あぁ、違う違う。両親である隼《はやと》と侑李《ゆうり》ちゃんに、圭先生のこと報告してもいいかの確認とっとこうと思ってさぁ。ほら、隼にとってはさ、目に入れても痛くないくらい溺愛してる愛娘の鈴ちゃん預かってる訳だし』
『……忘れてた。おじさんって、パパたちの味方だったもんねぇ』
『イヤイヤ、もちろん可愛い鈴ちゃんの味方だよ。でも、そろそろ仲直りしてあげてもいいんじゃないかなぁ。隼も相当寂しがってるようだし』
『……パパの考えが改まったら考えてあげてもいいけど。あっ、勿論、窪塚のことは言わなくていいから。言ったら、おじさんとも絶縁するから』
『ハハッ……冗談きついなぁ』
『本気だからッ』
『……わかったよ。圭先生のことについては知らないことにしておくから』
『うん、よろしく』
加えて、ある事情から、私が医者になることを猛反対していて、大学を卒業してからは家を出て距離を置き絶縁中となっている父のことまで持ち出されてしまった。