エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「……え、どうって。別に……普通? だけど」
「んもー、ヤッだぁ。何よ今の妙な間は~? なに思い出してたか言ってみなさいよ~、このむっつりスケべッ!」
「ちょっと、彩。声が大きいッ! 聞かれたらどうすんのよッ!」
「いっけない、ごっめ~ん」
ようやく窪塚の話題から開放され、可愛く舌を出しつつ肩を竦める彩を横目に、私は人知れず安堵の息をついた。
それはさておき、どうして私と彩がピカリンに憤っていたかというと。
私たち内科医は、華々しいイメージのある外科医とは違い、患者の病名を突き止め、患者一人一人に合わせて投薬などの治療を行うという、一見すると地味なイメージが定着しているように思う。
それに加え、外科医は、投薬治療で事足りるモノでも、やたらめったらオペしたがる気概がある、ように見える。
外科医からすると、実際はそうではないのかもしれないし、ただこっち側の勝手な見解かもしれないけれど。
いずれにせよ、私が窪塚を敵視してるのと同じで、内科医と外科医の両者には少なからず対抗意識があるのは確かだ。