堂くん、言わないで。
怖かった。
堂くんの口からはっきり“嫌い”だと言われるのが。
そのときふいにあげてしまった顔。
瞬間、胸の奥がじくりと痛んだ。
……なんで?
わたしはただのカイロなんでしょ。
都合よく使えるあったか人間なんでしょ?
……そんな顔しないでよ。
わたしじゃなくて、堂くんがそんな顔しないでよ。
こちらを見おろす顔はもどかしく……そして切なげに歪められていた。
「もう、離して……」
感情がせきを切って溢れ出す。
それなのに胸はずっと詰まったまま。
離されずにいる手は、あたたかくなんてなかった。