堂くん、言わないで。
「堂くんとなら、噂されてもいいやって…思ったの」
嫌がらせは受けるかもしれない。
だけど、傷つかなきゃ幸せなんて手に入れられないよね。
今日ずっと考えてたんだもん。
わたしは堂くんと一緒にいられることが、たぶん、────すごく幸せ。
だんだんまぶたが重くなっていく。
「今日くらい、堂くんを求めさせてよ……わたしにだって、」
……求めさせて。
全部を言い終わる前にふたたび目をとじた。
「みくる」
もう名前なんて呼んでくれないと思っていたのに。
うれしくて。
うれしくって。
うん、と心の中で返事をする。
そっと気遣うように触れる手が、わたしに子守歌を歌いはじめた。