堂くん、言わないで。
「おやすみ」
*
「る、ルナちゃん!みんな!」
翌日のお昼やすみ。
ご飯を食べ終わったルナちゃんたちが廊下に出たタイミングで話しかけた。
ルナちゃんは振りかえらなかったけど、まわりの子たちが睨むように振りかえる。
最初からわたしに気づいていたような反応速度。
「みくる、ずっとこっち見てたよね。怖いんだけど」
「っ、ごめん……でも」
わたしはスカートをぎゅっと握りしめる。
ふるえる手に共鳴するように、自分の声もふるえていた。
「話が、したくて……」
「いや別にうちらは話したくないし。ね?」
うんうん、とみんなが冷めた目つきでうなずく。
行こ、と置いて行かれそうになったときだった。
それまで先頭を歩いていたルナちゃんが、わたしのほうを向いたのは。
胸元まで伸ばされたロングの髪が、ふわりと揺れる。
「いいよ。あたしとサシで話そうか、みくる」
そこに初めて会ったときの笑顔はない。
ルナちゃんは何とも読み取れない表情で、わたしを見据えていた。