堂くん、言わないで。
チェックメイトに口づける。







翌週、ひさしぶりになゆちゃんと会うことができた。


遠くの高校に通っているなゆちゃんは、電車で1時間半ほどかかるところに住んでいるから、そう気軽に会うことはできない。


数週間ぶりにお互いの都合があって顔を合わせたなゆちゃんは、さらに美人になっていてわたしを驚かせた。



「みくる~お昼なにがいい?」

「んーと、小籠包たべたい」

「じゃあ台湾料理だ!」



いいお店を知っている、と連れてきてもらった台湾料理屋。


そこの屋外テーブル席に案内されたわたしは、正面に座るなゆちゃんのにこにこ笑いを無視できなかった。



「なに、どうしたの……?」

「みくるがお昼なんでもいいって言わなかったこと、ひしひしと噛みしめてる」


なんの話か一瞬わからなかった。

そしてすぐに、なゆちゃんの言葉の意味を理解する。



「成長したね、みくる」

「なゆちゃん……ありがとう」


なんだか嬉しくって、目の奥が熱くなる。

だけど手放しで喜べない自分もいた。



自分でも、前よりは変われたかなと思う。

けど根本的なところはまだ、以前のままのような気がしてならない。


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