堂くん、言わないで。


そうだ。

堂くんはいつだって、わたしのこと見ていたんだ。


でも、じゃあ……




そんなはずないのに、脳が勝手に勘違いして。

かぁっと、顔が一気に熱くなる。



「っ、ごめ、ちがう……」

「……なにが違うわけ」

「ちがう、違うの」

「っだから、なにが違うんだよ」


真っ赤な顔を見られないように慌てて両手で隠そうとしたけど。

強い力で手を引かれ、顔を隠すことさえままならない。


せめてもの抵抗でぎゅっと目をかたく閉じた。


つめたい指先がわたしの頬をつう、となぞる。

くすぐったさに導かれるように、あっけなく瞼をあけてしまう。


堂くんの長い睫毛が、いまにも瞼にふれそうで。


おたがいの顔がぼやけてしまう距離。



わたしは最後の抵抗で、首をゆるりと横にふった。




「っ…ね、それはだめだよ……」

「だめって?それってなに」

「だから、わたしたちはそういうのとは……その、違うでしょ?」

「いーよもう、そういうの……」

「んっ……ぅ」



下から掬うようなキスが、わたしの顔をぐっと上げさせる。


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