堂くん、言わないで。
教室を出ると、当たり前のように棗くんもついてきた。
どうやら本当に門のところまで一緒に来てくれるらしい。
校舎から出て、思わず亀のように首をすくめた。
なんとか保っていた最後の熱が、一気に吹き飛ばされた感じ。
あまりにも寒そうにしているからか、棗くんがポケットからカイロを取り出して。
それをわたしに差し出してくれた。
「これ、使いなよ」
「え……使い終わったやつ、とかじゃない?」
「俺どんだけひどいやつ」
棗くんがふは、と笑ってわたしの頭をぐしゃぐしゃにした。
「安心して。まだ暖かいから」
「しかも桐灰だ。いいの?桐灰なんかもらっちゃって」
「いいよ。俺ももらったやつだし」
それってまさか、女の子からですか?
その子の恨みを買いそうで、伸ばした手を引っ込めた。
周りで殺気を飛ばしている女の子がいないか、確かめようとしたときだった。
正門近くに立っていたその人が目に入った。