堂くん、言わないで。
しまった、と思ってももう遅い。
いつもは見ないようにしてるのに。
時間をずらして下校してるのに。
わたしの視界に入ってきたのは、堂くんとあの女の子。
ふたりはすこし前から、こうして一緒に帰ってる。
お似合いだって、みんなが言ってた。
あんなに可愛い子が彼女なら、誰も文句はない、って。
わたしはその声を聞くたびに、胸を絞られる思いだった。
堂くんの視線は彼女に向けられていた。
周りからどう思われてるかなんて、まるで気にしていないようだった。
ズキズキと痛む胸に蓋をして、その光景からさっと目をそらす。
だけど……どうしてかな。
自分から逸らしたのに、どうしても、また目で追ってしまうんだ。
堂くんはもうわたしなんて見てないと思ってた。
視線をふたたび向けたとき、
合わないはずのそれが重なった。