堂くん、言わないで。
一瞬おどろいたように目を見開いた堂くんはすぐに、見とれてしまうほどの綺麗な笑みを唇に乗せた。
「決まりな。ヨロシク、安藤みくる」
「うん……よろしくね。堂くん」
わたしたちはお互いのほおに手を添えていて。
それがまるで握手の代わりみたいだと思った。
「そういえば」
「え?」
「さっきのカイロ、寄こせ。桐灰だろ。最高級品じゃねーか」
「うわーっ自分勝手!」
とくに暑がりでもない平熱37度のわたし、
安藤みくると。
極度の寒がりで究極の冷え性な彼、堂恭花。
こうして──────、
わたしたちの不思議なカンケイが始まった。