堂くん、言わないで。
と、そんな堂くんがわたしの近くにいる。
なんでなぐさめられているのかもわからないまま、抱き寄せられた。
…………抱き寄せられた?
「えっ、」
バサバサッと本をぜんぶ床に落としてしまう。
あまりにも自然な動作だったからスルーしてしまいそうだったけど、すんでのところで頭がぎこちなく回転する。
男の人に抱きしめられるなんて初めてで、どうしたらいいかわからなかった。
無条件に心臓がどきどきしてくる。
伝わってしまいそうですこし身動ぎをしたけれど、身をよじったくらいでは離してくれなかった。
「お前、平熱何度?」
「えっ」
さっきから同じ反応しかできない。
それくらい彼の言動は突拍子もなかった。
なんで、平熱?