堂くん、言わないで。


ええと、と思い出すようにしながら。



「37度、いくかいかないか……ぐらい」


すると堂くんはすこしだけ身を引いて、こちらを見つめてきた。

近すぎてどうにかなってしまいそうな距離だった。


わたしよりも長い睫毛、そしてキメの細かい肌。

切れ長ですこしねむたげな瞳にわたしが映りこむから、はっとして目を逸らそうとする前に────また背中に腕を回された。



「ちょっ、うぅ……」


だからなんで、わたしは抱きしめられてるの?


それに、さっきから気になっていたんだけど、
……この人すごく冷え性だ。


遠くから眺めてるだけじゃ気づかなかった堂くんの冷たさ。

そして、ちょっとやり方は強引?だけど、わたしをなぐさめてくれる、あたたかさ。



……不思議な人。


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