堂くん、言わないで。
「……なのかなぁ」
『んー?』
「男の人って好きでもない人にキスできるものなの?」
そういえば棗くんも、わたしを脅すためにキスするなんて言ってたし。
案外、男の人ってそういうものなのかも。
すると電話の向こうで『は?』と若干キレたような声が返ってきた。
『なにみくる、あたしが彼に好かれてないとでも言いたいわけ』
「ちが、ちがうよぉ!ごめんね?ちょっと考え事してて」
『考え事ぉ?なによ、言ってみなさいよ』
わざと高圧的な声を出してくる女王なゆちゃん。
わたしは促されるように、あのときのことを全部話してしまった。