いつか、君に「」と伝えられたら。
「……死神さん、全部思い出しました……」

僕が微笑むと、死神さんは優しく微笑んだ。



「美優さんは、あの子かな?」

町を歩いてると、駅の近くでは女子高生が立っていた。持っていたカバンには、見慣れたキーホルダーが付いている。

「……美優だ……」

美優を見て、僕は寒い冬の日に美優と2人で写真を撮った時のことを思い出した。

「可愛いねぇ……小さくて」

死神さんは、そう言うとニコニコ笑う。僕は、死神さんの言葉に苦笑することしか出来なかった。

「とりあえず……君の未練は、美優さんに思いを伝えること。そうだったね?」

「……うん……」

死神さんの言葉に、僕は小さく頷く。

「でも、必ず霊が見えるとは限らないからなぁ……」

そう言って、死神さんは困ったように笑った。

「死神さん……もし、未練を解決出来なかったら……死神さんは、どうするんですか?」

「……」

僕の問いかけに、死神さんは無言で大きな鎌を作り出すと僕に突き付ける。

「こうするしかないんだ。でも、僕はそんなことしたくない……」

そう言って、死神さんは大鎌を消すと美優の方を向いた。美優は、悲しそうな顔でスマホを触っている。

「……拓実……」

美優の口から僕の名前が出た瞬間、美優は泣き始めた。
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