スティンガー 〜危険な香り〜


"何もなくても連絡しろ"


いつか昌行に言われた言葉が
頭をよぎった。


「なあ誰だよ。言ってみろよ。」


聖は楽しそうに
勝ち誇ったような表情だった。


『……き……さん』


「あ?聞こえねえよ。」


『……ま…………さ………さん』


「麗さんさあ!
もう少し声出せるでしょお。」


『……ま……さ…ゆき……さん』


途切れ途切れで"昌行"の名前を呼んだ。


それは3人の耳に届き
聖と昭平の顔から笑みが消えていた。
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