灰色の月
あなたに見つかり
私は連れ戻されるが
私の両親に分からない隣街に
住まわされる

そう
まるで鳥籠のなかで
大事にされているような
錯覚に陥るほどに

日に日にお腹は大きくなり
出産の日が

遂にきてしまった。
誰にも知られず
私とあなただけが知っている
不義の子

あなたは悪びれるでもなく
この子を抱くのね
名前もあなたが勝手に着けてしまった
凜々花の
凛の文字をあなたの名前と合わせて
凛司リツと
私は
この子を愛せるのだろうか

私は日に日に
食べる事ができなくなる
何も考えたくない

その日
私は起きれなかった
凛司が泣いているのも
わかっているのに
何も出来ない

気付けば
病院のベッドの上だった
凛司は
凛司がいない
あっ
窓側に
亮司が凛司を抱いて座っていた。
亮司は何も云わず
じっと私をみつめている

私は何故だか
涙が溢れてきた。
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