彼兄~SNSで知り合った彼は義兄だった!?~


待ち合わせ場所へ向かうと既に親友が待っていた。明るめの茶髪のショートカットを弄りながらスマホを見ている。

彼女は星河 明凛。小学生からの親友。頼れるお姉ちゃんみたいでしっかりしている為、結構頼ってしまっている。それが重荷になってないか1度聞いた事があったが、笑顔で否定された。本当に優しくて心が広い。

「おはよう明凛ちゃん。ごめんね、待ったよね?」

「奏音おはよう。大丈夫だよそんなに待ってないし」

「いつも待たせてごめんねー……」

待たせてしまった事が申し訳なくなり、再度謝った。それに対してやはり嫌な感情を一切見せずに「そんな事ないよー」と否定した。

明凛ちゃんは小学生の時に男子にからかわれていた時に助けてくれてからずっと私の事を守ってくれている。

そんな明凛ちゃんに助けられてばかりで凄い情けなくなる。だから私は変わりたい。明凛ちゃんに助けられてばかりじゃなく、私も明凛ちゃんが居なくても大丈夫なように。

「ねぇ明凛ちゃん。あとで相談したい事があるんだけど」

「相談?いいよー」

登校時間に間に合うように待ち合わせているから遅刻は絶対ない。お互い時間には余裕を持って行動するタイプ。それも会って私たちは滅多に喧嘩をした事がない。あっても些細なことで直ぐに仲直りしていた。

「 そういえば課題終わった?」

「終わってるよー。確か提出今日だよね?」

「そうなんだよね。私終わったの昨日なんだけど」

笑いながら素直にギリギリに終わった事を明凛ちゃんは打ち明けた。1週間前に出された数学の課題。テスト前の期間という事もあり少し多かった。

課題のどの問題が難しいかったとかあの問題は分かったとか。毎日話題には事欠かない。

どんな内容でも明凛ちゃんと話していると時間があっという間に感じる。今も教室へと入った所だった。

丁度入り口近くで話していた女の子達の会話が聞こえてきた。

「最近彼氏と喧嘩してさー」

「確か年上だっけ?」

「そうなのよー」

女の子達の話題は彼氏について。それを聞き流しながら自分の席に着いた。明凛ちゃんの席は私の前だ。私と同時に席に着く。

私は恋愛経験は無く、男性に対して苦手意識がある。それでも恋愛に興味はある。デートだってしてみたいし、手を繋いだりもしてみたい。

その為にはまず男性への苦手意識を無くさなくてはならない。

「明凛ちゃん、さっき話した相談なんだけど」

「お。そういえば。相談って?」

私の前の席でこちらを向きながら、待ってましたと言わんばかりに話に乗ってきた。こういう所も本当に頼りになるからついつい頼ってしまう。そこも治すべき点。

「私、恋愛を経験したい」

「ふむふむ……え!?奏音が、恋愛をしたいと……!?」

悩みを打ち明けると凄くオーバーリアクションで驚かれた。それもそうだ。今までそんな事を相談した事もなければ話した事もない。

明凛ちゃんからしたら意外だったのだろう。どんな反応をされるのか。昔の事を知っている明凛ちゃんが反対するのか賛成してくれるのか。とてもドキドキしていた。

「そっかー。奏音も恋愛してみたいよね」

「反対しないの?」

どちらの反応をされるか分からなくて不安だった所、賛成とも取れる言葉が明凛ちゃんの口から発せられた事に私も驚いてしまった。

何故反対しないのか。疑問に思ったのですぐに聞いた。私の問に返ってきたのは明凛ちゃんらしい理由だった。

「奏音の昔の事知ってるけれど、反対はしないよ。お兄さんが出来てから少しずつ克服してるみたいだし……」

「明凛ちゃんは私よりも私の事分かってるね」

「ずっと一緒にいて奏音を見てきたのよ。ちゃんと分かってるわよ」

明凛ちゃんから理解を示してくれている答えが返ってきた瞬間、担任の先生が入って来てHRが始まった。

休み時間だけでは時間が足りないと思い、明凛ちゃんと昼食を食べる時に再度話す事にした。

「明凛ちゃん、朝の事なんだけど」

「そういえば途中だったね。奏音はどんな人と恋してみたいの?」

明凛ちゃんから聞かれたけれど、正直まだ分からない。男の人と関わった事あるのは同級生か先生、家族くらい。

慣れてるのはどちらかというと大人の人かな。それを明凛ちゃんに伝えると、「なるほど……」と呟いてスマホを取り出した。

「じゃあ奏音。SNS、やってみない?」


「SNS……?」

明凛ちゃんからの提案に、少し興味が沸いた。
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