恋愛タイムカプセル
episode11. 十年越しの告白
最悪の同窓会が終わる前に私は会場を出た。
とても楽しく飲み食いできるような気分ではなかった。高い金を払った同窓会だが、まさしく無駄金だった。
帰宅途中の電車で鞄の中のスマホが震えた。
そこには「春樹くん」の文字が表示されていたが、どうして彼が電話をかけてくるのか理解できず、震え続けるスマホを電車の中だからと無視した。
彼からの電話はその夜何度か鳴り続けたが、私は出なかった。
あの時彼がなぎさちゃんに話しかけたことも。格好を偽っていたことも。不信感しか湧かず、ただ悲しかった。
けれど心の中のどこかで納得していた。
高校の時、あれだけ噂されたのだ。春樹くんがあの噂を知らないはずがない。
なのに私はどうして疑わなかったのだろうか。私が久しぶりに送ったメールにどうして彼が応じたのか。どうして何度も私とコンタクトを取ったのか。あの頃のように優しくしたのか。
ちょっと考えればわかることなのだ。春樹くんみたいな格好いい人が私なんか好きになるはずがない。
優しい彼は変わっていない。あの頃のままだなんて、どうして信じたのだろう。どんな人も大人になって、成長して、心だって変わってしまうのに。
翌朝目を覚ますと、目蓋がやけに重たかった。夜の間に散々泣いたからだろう。子供でもないのにあんなに泣くなんていつぶりだろうか。
憂鬱な気持ちのままスマホの画面を開くと、春樹くんからの着信がまた何度か入っていた。
喜ぶ気持ちがないわけではない。私は今も彼が好きだし、心のどこかであれは嘘だったのではないかと思い込もうとしている。
けれど心を無にすることで、深い痛みから身を守ろうとしていた。
私はそのままスマホを閉じ、仕事の支度を始めた。
とても楽しく飲み食いできるような気分ではなかった。高い金を払った同窓会だが、まさしく無駄金だった。
帰宅途中の電車で鞄の中のスマホが震えた。
そこには「春樹くん」の文字が表示されていたが、どうして彼が電話をかけてくるのか理解できず、震え続けるスマホを電車の中だからと無視した。
彼からの電話はその夜何度か鳴り続けたが、私は出なかった。
あの時彼がなぎさちゃんに話しかけたことも。格好を偽っていたことも。不信感しか湧かず、ただ悲しかった。
けれど心の中のどこかで納得していた。
高校の時、あれだけ噂されたのだ。春樹くんがあの噂を知らないはずがない。
なのに私はどうして疑わなかったのだろうか。私が久しぶりに送ったメールにどうして彼が応じたのか。どうして何度も私とコンタクトを取ったのか。あの頃のように優しくしたのか。
ちょっと考えればわかることなのだ。春樹くんみたいな格好いい人が私なんか好きになるはずがない。
優しい彼は変わっていない。あの頃のままだなんて、どうして信じたのだろう。どんな人も大人になって、成長して、心だって変わってしまうのに。
翌朝目を覚ますと、目蓋がやけに重たかった。夜の間に散々泣いたからだろう。子供でもないのにあんなに泣くなんていつぶりだろうか。
憂鬱な気持ちのままスマホの画面を開くと、春樹くんからの着信がまた何度か入っていた。
喜ぶ気持ちがないわけではない。私は今も彼が好きだし、心のどこかであれは嘘だったのではないかと思い込もうとしている。
けれど心を無にすることで、深い痛みから身を守ろうとしていた。
私はそのままスマホを閉じ、仕事の支度を始めた。