悪魔の鬼ごっこ
「ほぇ?」
キョトンととぼけた顔をする浮気女。
わざとなのか、本当に理解していないのか、真意は分からないけど、男ならキュンとするそのウルウル涙顔も、私にとっては怒りの養分だ。
「"ぺちゃぱい"だわ!私はスレンダーなの、覚えとけ!」
そう叫んで、私は掴んでいた前髪を離す。
「さっさと失せな。牛乳女」
「うわぁあああん!!覚えてろよぉぉんん!!」
去り際の悪役のようなダサい言葉を残して、女は逃げるように立ち去った。
フッ、これが浮気女の末路よ。ざまーみろ。
私は清々しい気持ちに駆られ、笑顔を浮かべた。
その横で、怯える雄飛。
「ちょっと、やりすぎじゃないっすか…」
「は?私を愚弄したあいつが悪いのよ」
後悔なんて、微塵も感じていなかった私は。
この後、大きな厄災が待ち受けていることを、まだ知らない。